2020年11月29日

コーティングバケットを考えてみよう(1)

まもなく12月。
ここまできちゃうと、今年なんてすぐ終わりのようなもんで。

コロナもかなり増加していますが、都内の感染者が1日1000人超えるくらいの
レベルにならないと思いきった対策とかは出てこないと思っています。
つまりは、個人で対策してねん、ってのが国として正直なところじゃないかと。
感染者と経済を天秤にかけて、多少の感染者増加では動かないでしょう。

増えても減っても、個人ができることなんて限られてます。
マスク・手洗い・消毒・三密避けて暮らしていくしか方法はないのですよ。
国がなんかしてくれるとか考えないほうがいいです。
言いたくないけど、そんなもんです。

さらに言えば、支援してもらえる業種はかなりマシ。
自分ところは町の独自支援すら対象外って言われますからね。
同じように事業所の税金払ってんだけどなー。
まぁ、腐っても仕方ないのでやれることを頑張るしかないんですが。


ちょっと気になってた、アルミ製のコーティングバケットを買ってみました。
乳剤を塗る道具ですが、バケットとかコーターとか呼ばれてますね。
普通に買うと高いので、中華製のアルミバケットです。

IMG_6637.JPG

8インチサイズ、約20cm。いつものAmazon。
注文から約3週間で中国から送られてきましたが、梱包がすごかったです。

いまさらアルミ製バケットってのもなんですが、手軽に入手できるものでも
あるので試してみようかと。ただ、個人的にアルミバケットはあまり使ったことが
ありません。あくまで先入観的なものですが、

1)塗布表面外観がどうもイマイチ
2)軽すぎて塗りもイマイチ
3)メンテナンス性がイマニ

ってかんじがしています。

とりわけ、メンテナンス性にはあまりいい思い出がありません。
ステンレス製のバケットであれば、耐水ペーパーで補修が可能です。
気をつけててもバケットの刃先をヘコませたりすることはあります。

アルミバケットは、この耐水ペーパーでの補修がすごく難しい。
繊細すぎるというか、ちょっとペーパーをかけただけで塗布後の外観が悪くなる
気がします。なので、あまりいいイメージがありません。

※塗布後の外観
乳剤を塗って乾燥させた後、表面を斜めから見て乳剤の表面を観察したもの。
平坦なものほど、つるっとしたかんじに仕上がります。


このアルミバケット、Amazon品はどうなのか試してみようと思ってます。


最後にバケットに関して重要なことを書いておきます。

バケット=乳剤を塗るもの、ってのが一般的です。
たしかに間違ってはいません。自分もバケットで乳剤塗ります。
ただ、バケットは結果的に乳剤が塗れる道具でしかありません。

大事なのは、

バケットは乳剤を掻き取るものである。


ここを勘違いしていると、いつまでも塗りが上手くならんのです。
バケットを傾けた時点で、乳剤はスクリーンに付着しています。この付着した
乳剤を掻き取るこによって、均一で薄膜な乳剤が塗布されます。
つまり、上手に乳剤を塗るためには

いかに均一に掻き取れるか

ということになります。
うまく掻き取るためにはどうすればいいか?を考えないと上達できません。
かくいう自分もかなり悩みました。

次回はその点を書いてみます。







posted by 柴 at 19:38| Comment(0) | 製版

2020年11月09日

乳剤とレジン

試運転した3Dプリンターですが、その後は使っていません。
レジンの安定性って意味で、そこそこの環境温度が必要みたいで。
最近寒くなってきたので、その区画だけでもある程度の温調をしようと
パネルヒーター待ちです。造形物の洗浄用に超音波洗浄器も買ったので
そのへんの準備だけはバッチリです。

評価に使用したレジン入りのバケット。
レジンを布に染み込ませ固形化してから洗浄しようかと思ったわけです。
せっかくなので、どの程度の感光速度があるのか、ちょっとだけ外に
持ち出してみたんですが、


思った以上に硬化が早かったです。(笑)

いやいや、ほんの十数秒で表面が樹脂になってました。
おそるべしレジン。
そして、素手でレンジも触ってみるという行動もしてみたのですが、

あ、これ油だわ。

ってほど、ぬるぬるでハンドソープごときじゃとれませんでした。
有機溶剤でとれるみたいなので、バケットごと有機溶剤容器に
ぶっこんでから手を拭く必要がありました。素手だと面倒くさく
なることが、よーくわかりました。


そういえば、乳剤の話しをしていなかったので書いておきます。

スクリーン印刷用の乳剤(エマルジョン)ですが、主な組成は

・ポリビニールアルコール
・(ポリ)酢酸ビニル
・アクリル樹脂
・純水

が主な成分になっています。耐溶剤・耐水・解像性・皮膜硬さを考慮して
これらの成分量を調整したり、添加剤なども付加することによって、考えように
よっては無限の種類の乳剤ができあがります。

WebShopなどでは数えるくらいの乳剤しか流通していませんが、業界で
使われる乳剤種類は「かなり」多いです。顧客の印刷仕様に合わせようとすると
これまた独自乳剤が開発されて、さらに増えてきます。
そんなわけで、どれがいいかは「印刷してみないと分からん」ってのが
回答になります。もちろん、イメージ的なものはありますが。

とはいえ、8割以上の版はスタンダードな乳剤で大丈夫です。
残り2割は特殊印刷向けと考えて問題ありません。
まぁ、何をもってスタンダードとするかですね。

ちなみに、私の場合は「いちばん安っすい乳剤」がスタンダード。
そもそも、200メッシュ以下が多いので高精細の乳剤とかはいらない
わけですよ。そして、業界で使用される乳剤は国産品の安いやつでも
必要十分な性能を発揮するので。200メッシュを超えるのであれば、
「そこそこ」いい乳剤にしています。


次に乳剤の感光剤ですが、

・ジアゾポリマー
・SBQポリマー(スチルバゾリウム)

の2種が販売されていますが、乳剤成分としては前述したものとかわりません。
感光基がどちらか、だけの話しです。

ジアゾは乳剤と混合させることによって感光乳剤として使用できるため、
ジアゾを混ぜていない乳剤であれば長期保管が可能。メーカー的には、冷蔵庫で
6ヶ月くらいは大丈夫と言われています。ちなみに言えば、私の冷蔵庫にあった
2年前の乳剤・・調合して使えました。(笑)

ジアゾを混ぜた乳剤(調合済み乳剤)は、ジアゾを入れた瞬間からじわじわ
架橋反応を開始します。冷蔵庫保存で1ヶ月が目安ですが、まぁ、2ヶ月くらいは
いけます。いや、3ヶ月でもけっこう大丈夫だったりしたり。4ヶ月でも
「あ、使えた」なんてこともあったり・なかったり。

SBQは6ヶ月〜1年くらい持つと言われています。
正直、ほとんど使ったことがないので分かりません。出荷の時点で感光性PVAが
含まれているので、自分で調合できるものが販売されているのかも不明です。
3DプリンターのレジンもSBQ硬化のようです。
そう考えると使用頻度によってはSBQがいいと思います

が、

ジアゾもSBQも長所・短所があるので・・。
これまた長くなるので感覚的にかいつまめば、

・ジアゾは初心者でも製版できる
・SBQは初心者でも製版できるが、ちょっとむずかしい

ほんとにざっくり言えば、こんな基準でいいと思います。


書き忘れてしまいましたが、乳剤は印刷するインクで大別してください。
水性インクなら「耐水性」、油性インクなら「耐溶剤性」です。
「耐水・耐溶剤」両用の乳剤もありますが・・「親水性・疎水性」という
相反したものをバランスよく1つに調整するので、どうなのかなぁ?
とも思いますが、まぁ使って問題なければいいと思います。

個人的には、水性インクなら水性用の乳剤一択。場合により硬膜剤付加。
油性なら耐溶剤性の乳剤を使い、水性インクを使う必要が出てきた時に
硬膜剤を塗布して、一時的に耐水性を向上させる。って方法を使うかも
しれません。もっとぶっちゃけて言えば、1つの版で水性・油性印刷する
印刷屋さんはほぼほぼ無いと思います。(分からんけど)

もちろん、個人ならなんでもOKです!!

ちなみに「硬膜剤」は耐水性を向上させる2液性の塗布剤です。
乳剤自体がもともと水溶性のため、露光された耐水性の乳剤であっても
水との親和作用が働きます。つまりは版が壊れやすくなる(パターンが欠け
などを起こす)ので、さらに耐水向上機能を付加するものです。
他にも「カバーコート・オーバーコート」といった、保護剤なんかも
製版物に付加することがあります。そう考えると、奥深い世界ですよね。








posted by 柴 at 12:16| Comment(0) | 製版

2019年09月23日

会計顧問料で選んでもいいと思います

最近、起きる時間が遅くなってきました。

基本的に目覚ましはかけません。目が覚めたときに起きるというか。
外が明るかったら起きるので、時間は適当。夏は早く、冬は遅いかんじですね。
とはいえ、7時を過ぎて起きることはほぼありません。
時は金なり。時間は有限。

前回インボイス制度の話しを書きましたが、ふと会計事務所に関して書いて
おこうと思いました。
今の会計事務所は、地元密着タイプの事務所です。
起業1年目は東京の会計事務所に頼んでいました。

それがまぁ、ひどかった・・。
ひどいというのは、担当者とか対応ではないです。
起業1年目にこの値段がひどかったのです。

たしか、1年目だけで60万円以上余裕でかかりました。
今考えてみると高い理由も納得なんだけど、A社が会計処理をして、B社から
その請求書が来てましたからね。そりゃ、いろいろのっかってくるわけですよ。
起業支援会社とか右も左も分からない人からのボッタクリですわ。

今の会計事務所は、当時の3分の1くらいです。
とはいえ、やってもらうことはほぼ変わらない。ここまで違うのかとびっくりした
記憶があります。顧問料が安くても仕事はおんなじです。
それどころか、サービスでいろんな書類も作ってくれる。
当初の事務所では、全部オプション料金でした。何やるにも追加料金。
ちょっと会計項目が増えれば追加料金。それが普通と思ってました。

まぁね、それなりの金額を払って相応の価値があれば意義はあります。

でも、会計事務所が指導できることなんて正直限られてると思うのですよ。
節税指南っていっても、やれることは限られてます。何年かやるとわかります。
経営指南・・・まぁ、経営者でもない限り助言してもらっても・・。
資金繰りとか説明されても、零細会社なんか「入金」「支出」「銀行残高」
だけ分かればかまわんのですよ。

それよりは、自分で勉強したほうがいいです。
今や、ネットでも動画でもけっこう勉強できますしね。全部が正しいとは言えない
けど、それは自分で判断する力がつきます。インボイス制度が始まるにあたっては
このへんもよく考えてみたいですね。


ひさしぶりに、スクリーン印刷用版を作ります。
今回はPE袋用の簡単なデザインを。
チラシも順次作っているので、それを入れるつもりです。

IMG_5961.JPG

今回のフイルムは、家庭用インクジェットで出力しました。
ブラック色のみ顔料のプリンターで、1万円以下で買ったプリンター。
今だに現役で稼働中です。
これでもちょっとした版ならOK。なにより、半端な大きさで残ってしまった
フイルムをこれで印刷できるのが素敵。

PS版(乳剤だけ塗った版)は、4ヶ月くらいたったやつを使用してみる。
正直、

ぜったい無理だわーー


とか思って露光してみたんだけど、

IMG_5965.JPG

あれ?普通に焼けたわーー。

なんかもう、どんな基準で版がダメになるのか分かんなくなってきた。
ダメだと思い込まずに、まずはやってみろということかもしれん。(笑)

そのうち印刷はじめます〜。


posted by 柴 at 20:36| Comment(0) | 製版

2019年04月24日

乳剤の廃棄方法

胃腸科に行ってきました。
胃が弱いのは筋金入りだったりしますが、数年ぶりの胃腸科受診です。
たまに不調なこともありますが、長引く場合は行ったほうがいいですよね。

数年前も胃の調子が悪くて、胃カメラ飲みました。
その時はじめてピロリ菌感染を言われて除菌したんですよね。
それ以降は調子良かっただけに、今回の不調はちょっとビビっていたのです。

年齢的にも、癌とか疑ってみたくなるわけですよ。
もしかしたら、胃がんとか食道がんとかだったりして・・とか。
ネットで調べてみたり、自分のがん保険とか証券を引っ張り出して
みたりしましたが結果的には、

「胃炎ですね」

で終わるという。
まぁ重大な病気じゃなくて良かったわけで、この結果を聞いただけで
治ったような気がしました。(笑)

ちなみに、今回初めて鼻から入れる胃カメラってやつを経験。
口から入れるやつより楽ってことで、ちょっと期待してたんですが、

そんなことはありませんでした。

楽とか言ったやつ出てこい!!
人によって感じ方が違うのかもしれませんが、鼻からタイプですら、もう
やりたくないです。次調子悪いときは、麻酔タイプのところに行きます。


今回は、残ってしまっている乳剤の話し。

全部使い切れるヘビーユーザーならまだしも、趣味レベルならば必ず残ります。
そして、この残った乳剤の処分に困って、たまっていくわけですよ。

このまま排水口に・・・ってわけには当然いきません。
おそらく自治体の排水基準ですと、仮に1キロの乳剤を下水に流す場合、かなりの
水で希釈する必要があります。200リッターか300リッターか、それ以上の水で
薄めないと基準値まで落ちません。

多い場合は、産廃業者へ相談しましょう。もしくは販売元で引き受けてくれる場合も
あります。少ない場合は、日光浴という手があります。

IMG_5715.JPG


なるべく広範囲に広げて、日光で硬化させてしまいましょう。

IMG_5716.JPG

こんなかんじで固まっていきます。
ただ、外観は固まっていても中身はレアだったりしますので、たまに
スクランブルエッグよろしくかき混ぜて、ガッチリと固めてしまいます。
その後は、廃プラスチックゴミとして捨ててしまえばいいですね。

ただ、あまり大量にやらないようにしましょう。
匂いとか、意外と気になりますから。

posted by 柴 at 21:34| Comment(0) | 製版

2019年04月03日

安価な製版設備でもけっこういけます

親指カッティングから2週間。
やっと痛みもマシになってきました。まだ包帯は欠かせないけど、包帯ごしなら
そこそこ指が使えるように。親指使えるとこんなにも便利なんだなぁー、とか
あたりまえだったことに感謝する毎日です。

さてさて、ここのところ仕事に一服感がでてきたので、ガッチリとスクリーン印刷
評価をしていました。
前回のSBQ評価でしばらく使わないことに決めたので、従来通りのジアゾ系乳剤
で刷版を作製します。

今回は「アクリル板」に印刷してみます。

そもそも姪っ子の結婚式のお祝いに、似顔絵入りのフォトフレームをプレゼント
しようと叔父さんは思ったわけですよ。オリジナルフォトフレームもガラスが主流(?)
みたいなんですが、落としちゃった時にヒビとか縁起悪い気もするし・・。
だったら安全策で透明アクリル板でやってみようと。

今回の印刷部分が最大幅50mmくらいしかとれず、おのずと文字が小さくなる
ので、細線も出せる仕様で版を作製します。幸いアクリル板自体が平坦なので
製版さえきちんとできれば印刷は問題ないでしょう。

スクリーン:355メッシュ/線径30μ/バイアス23.0°
乳剤:GOH-03
乳剤厚:7μ
露光時間:750秒

電子関連でもないので、この基準でだいたい大丈夫なはず。

うちの製版設備は、はっきり言って「安物」です。プロ用製版なんて、とても
作れません。作れませんが、精密さを求める製版でなければ安価な設備で
そこそこの刷版を作ることができます。

まずは、テスト的に作った出来上がり品。

IMG_5655.JPG

ぷっ子の写真はインクジェットで出力し、その右側に文字を入れました。
光の加減でちょっと見にくいので、後ろに黒紙を置いてみる。

IMG_5644.JPG

ちょっと厳しいかな?ってラインも綺麗に出ました。
やっぱ、普段から使っているジアゾ系の乳剤、うちの露光機とすごく相性がいい。
一発で適正露光できました。

たまにはスクリーン印刷屋として評価写真も載せてみますよ。
どれも拡大鏡で撮影したものです。

まずはフイルム。

film123.BMP

インクジェット出力なので、さすがに細かすぎるラインは再現できません。
エッジ部分がぼやぼやーってかんじですね。
まぁ、ミクロン単位での話しなので肉眼ではまず分かりません。

そして刷版です。
印刷後にインクを拭いてからの撮影になってしまったので、ちょっと白いインクが
残ちゃってますが、ほぼほぼフイルム通りの露光結果になっています。

123.BMP

最後に印刷したアクリル板文字。

print.BMP

白い箇所がインクがのっている文字で、となりにある横棒のならびは
1mm単位幅の定規です。比較すると細線部分は0.15〜0.20mmくらいですかね。
ちゃんと印刷できています。


つまりは、数十万円レベルの低投資の設備でもここまで印刷は可能だということです。
もちろん、高額な設備や材料を使えばこんなもんではいないレベルの製版に
なるわけですが、普通の印刷物で考えれば必要がありません。
そもそも人間の目でミクロン単位の出来栄えを見ることはできないわけですし。


もしこれからスクリーン印刷を本格的に始めたい方がいましたら、気軽に
ご相談くださいね、

posted by 柴 at 22:05| Comment(0) | 製版